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📚 (3-8) 撹拌をやさしく捉えてみよう【乳化撹拌装置の構造とその据付・設置】

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アイキャッチ 【撹拌をやさしく捉えてみよう】

乳化撹拌装置の構造

色々な観点から乳化撹拌装置を捉えることができますが、ここでは以下の点に絞って考えてみましょう。

乳化槽の大きさと設置位置

乳化槽の高さ

「撹拌をやさしく捉えてみよう【一般的なクリーム・乳液製造工程で必要な撹拌】」のページでは紹介を省略しましたが、冷却工程後には乳化槽内の製品を取り出さなければなりません。

「撹拌をやさしく捉えてみよう【乳化撹拌装置を動かしてみる】」のページでも触れますが、①乳化槽を横転させて取り出す方法、②乳化槽底のバルブから取り出す方法が考えられます。

いずれの方法にしても、乳化槽は製造フロアの床から高い位置に設置して、製品の取り出しスペースを確保しなければ、製品を容易に取り出すことができないことが分かります。

溶解槽の大きさと設置位置

「撹拌をやさしく捉えてみよう【一般的なクリーム・乳液製造工程で必要な撹拌】」のページでも紹介しましたが、あらかじめ油相と水相を調製します。

このとき、溶解槽という専用のタンクを使用します。

そして、調製した溶解槽中の油相や水相を乳化槽へ移送させなければなりません。

溶解槽が低い位置にあると高い位置にある乳化槽へ油相や水相を移送するのが困難であるため、溶解槽は乳化槽とほぼ同じ高さである必要があります。

乳化槽・溶解槽の位置
溶解槽の高さ

一方、作業者は油相や水相を調製するためにそれぞれの原料を溶解槽へ投入しなければなりませんが、溶解槽が高い位置にあると作業性の面から困ります。

したがって、溶解槽は製造フロアの床から低い位置に設置していることが望ましいです。

しかしながら、溶解槽は乳化槽とほぼ同じ高さである必要がありました。

こうした理由から、大型の乳化撹拌装置(生産機)では作業台が必要になってきます。

以上をまとめると、大型の乳化撹拌装置(生産機)における乳化槽・溶解槽・作業台の位置関係は下図のようになります。

乳化槽・溶解槽の大きさと設置位置

乳化撹拌装置の蓋昇降

乳化撹拌装置における乳化槽の開閉は、蓋の昇降によるものが圧倒的に多いです。

したがって、天井を高くする等、スペースを確保する必要があります。

乳化撹拌装置の蓋昇降

乳化撹拌装置のフロア構成例

このように乳化撹拌装置の構造を鑑みると、製品の製造工場における乳化撹拌装置のレイアウトがおおよそ決まってきます。

このとき、レイアウトは大きく2つに分けて考えることができます。

乳化撹拌装置の1フロア構成例/減圧吸引方式

ここでは、「乳化撹拌装置の1フロア構成例/減圧吸引方式」について見ていくことにします。

  • 原料倉庫 👉 製品に必要な原料を持ち出します。
  • 秤量室 👉 製品を製造するのに必要な原料を計量します。
  • 調合室 👉 溶解槽が高い位置にあるので、昇降リフト等を用いて作業台の上まで原料を運びます。
乳化撹拌装置の1フロア構成例

続いて、溶解槽で原料を加熱・溶解することで、油相および水相を調製します。

その後、油相および水相を乳化槽へ移送することになります。

今回の事例では、溶解槽と乳化槽とが同じ高さに設置されています。

したがって、乳化槽中を減圧し、圧力差を利用した油相および水相の投入をすることになります。

📝[memo] 掃除機のように溶解槽中の原料を吸って、乳化槽の中へ投入するイメージです。

減圧吸引方式

乳化撹拌装置の2フロア構成例/落差(グラビティフロー)方式

次に、「乳化撹拌装置の2フロア構成例/落差(グラビティフロー)方式」について見ていくことにします。

原料倉庫 👉 製品に必要な原料を持ち出します。
エレベータ 👉 エレベータを使って、原料を2階まで運びます。
秤量室 👉 製品を製造するのに必要な原料を計量します。
調合室 👉 2階からそのまま調合室へ入ります。

乳化撹拌装置の2フロア構成例

続いて、溶解槽で原料を加熱・溶解することで、油相および水相を調製します。

その後、油相および水相を乳化槽へ移送することになります。

今回の事例では、溶解槽の下(1階)に乳化槽が設置されています。

したがって、溶解槽底のバルブを開き、油相および水相を自然落下させることによる投入をすることになります。

落差(グラビティフロー)方式

アルコールの使用(20号タンク)

燃焼性ガス

アルコールは空気と混合すると燃焼性ガスとなるため、高温体や電気火花と接触すると爆発する危険が生じます。

このように、可燃性がある・支燃性があるものを危険物として定め、それを入れるタンクの構造や設備全体に細かい規定を設けています。

消防法の「危険物の規制に関する政令」第9条第1項第20号で規定されているので、このようなタンクを「20号タンク」と呼んでいます。

防爆仕様設備

もし、通常の状態において危険雰囲気を生成するおそれがある場所であれば、特別な対応が必要になります。

例えば、内部で爆発が生じても外部に爆発が及ばないように内部爆発に対して耐える強度を備えた構造を設けたりします。

その結果、乳化槽本体の構造・強度確認の検査や特殊な耐圧防爆型モータを使用するので、設備は長納期および高コストとなりがちです。

ここではイメージのみに留め、20号タンクに関する法規の詳細については専門書へと譲りたいと思います。

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